俺 キス。 TVアニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」公式ホームページ|TBSテレビ

#1 俺ガイル キスの日にはBLな策謀が渦巻いている。

俺 キス

皆さん、キスマークって知っていますか? キスマークとは、肌に唇を当て、そのまま強く吸うと、内出血がおきます。 それをキスマークといいます。 よく男性が自分のものという印としてキスマークを付けることがあります。 ただこのキスマーク…女性としては嬉しい人は少ないようです。 また、一般的には数日で直りますが、直りづらく跡が残ってしまうこともあります。 女性としては、あんまり喜べないんですね。 男性がキスマークを付ける理由…知りたくないですか? もちろん、印の意味もありますが、この他にも男性の中ではこんな男性心理が動いているんです。 今回は、そんなキスマークを付ける男性心理についてお話ししていきます! 「俺のもの」という印 キスマークを付ける男性心理1つ目。 まずは、冒頭でもご説明しました。 「こいつは俺のもの」という印です。 感覚的には、自分の持ち物に名前を書くようなイメージです。 また、首筋や太もも、胸やお腹… 色々な部分に付けることが多いです。 また、洋服に隠れて見えないところよりも、肌が見えてしまうようなところに付けたくなるのが男性心理なんです。 他の男に取られたくないという男性心理が働いて、キスマークを周りに見せたいんです。 ただ、女性としては、洋服に隠れていないところだと、仕事に支障が出てしまったり、友達からからかわれたりしますよね… 嬉しいような嬉しくないような男性心理です。 そんな男性には、しっかりと理由を説明して、見えづらい場所につけてもらう等してもらいましょう。 イタズラ心.

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#1 俺ガイル キスの日にはBLな策謀が渦巻いている。

俺 キス

今日の終業式が終われば明日から冬休みだ。 奉仕部も今日は休みらしいので今日は午後から家でゴロゴロできる。 最高だ。 終業式も終わりルンルン気分で廊下を歩いていると「比企谷」と声をかけられる。 おい、比企谷呼ばれてるぞ。 俺も比企谷だがこんな廊下で呼ばれるはずもないので振り返らない。 それがたとえよく聞く声でも振り返らない。 なぜなら振り返った瞬間、俺の平穏が終わることを知っているからだ。 その場を立ち去ろうと足早になると後ろから肩を掴まれる。 やばい捕まった。 殺される。 「比企谷、逃げるとはひどいじゃないか?そんなに死にたいのか?」 「ひっ、平塚先生じゃないデスカー、どうひたんですか」 オーケー大丈夫いつもと変わらない。 平常心だ。 「まったく……。 君に頼みがあるんだ」 「すいません、今から俺大事な用事が」 「ふむ、用事とはなんだね?」 「家であれしなくちゃいけないんですよ」 「なるほど。 それなら大丈夫だな。 20分後に奉仕部に来てくれ、依頼人もその頃に行くと思うのでな」 なんでいつも用事があるといっても俺は暇なことになるの?おかしくない? 「いや、今日は奉仕部休みなんですけど……、雪ノ下も由比ヶ浜もいないですし」 「だからだよ比企谷」 何言ってんだこの人。 俺だけで話聞いたって上手くいきっこないのに。 「君は必ず来ると信じているがこない場合は君の成績がどうなるかわかるまい?」 この人俺の成績を人質に取りやがったぞ。 それ教師としてどうなんですかね。 「わかりましたよ……、行きます」 「うむ、では私は用事があるので失礼するよ。 依頼内容については依頼主から直接聞いてくれたまえ」 この人自分は来ないのかよ…… 遅れるのもめんどくさいので俺は早めに奉仕部の部室に行く。 とりあえず依頼人が来るまでいつもの席で読書をし、時間を潰す。 20分を過ぎたあたり扉ろノックする音が。 「どうぞ」 「失礼します」 挨拶をして部室に入ってきたのは黒髪ロングの綺麗な女子だった。 系統で言うと雪ノ下が近い。 目元は雪ノ下よりキリッとしている。 それに雪の下にはない膨らみがある。 むしろそこは由比ヶ浜レベル何この子スペック高すぎじゃない? こんなに美人なら校内で噂になっているのと思うのだが知らないな。 あ、そもそも俺に噂とかこないじゃん。 ぼっちだし。 「2年の塚平爽子です」 「塚平さんね……、んで今日は何を依頼しに?」 なんかどっかで見たことある気がするのだが…… 喉元まで答えが出かかってるのにあと少しが出ないこの嫌な感じあるよね? 「実は今日一日、私と恋人になってほしいんだ」 え、何言ってんのこの人。 見ず知らずの人と恋人?ないない知ってる奴でも厳しいというか不可能レベルなのに。 俺にはこの依頼無理ゲーすぎるわ。 よし降りよう。 「すまん。 俺にはその依頼に答えられそうにもない。 他を当たってくれ」 「断るなら平塚先生に報告するけど……?」 その言葉を俺に告げ彼女はニヤっとする。 ……こいつ、卑怯だ。 それに不覚にも今の表情に少し見惚れてしまった。 「オーケーわかった。 今日一日だけでいいんだよな?つまり恋人の振りのようなことをすればいいと」 「そうなるね。 ではさっそくデートをしよう?よろしくね、八幡」 あれ?俺こいつに名前言ったっけ…… 塚平は容姿からして俺が知っていてもおかしくないレベルなのに俺は知らない。 逆に俺は目立たない。 自分のクラスの奴らにすら名前ヒキタニと覚えられてるレベルだ。 「はやくいこう?」 塚平は俺の腕を取り腕組をする。 柔らかいの当たってるんですけどね!なんだこいつビッチか!?ていうか若干タバコ臭いんだけど!不良かよ。 距離が近くなり横目でチラッと塚平の顔を見るとやはり美人だ。 学校一と名高い雪ノ下と比べてもなんら遜色がないと言える。 というか先程も言ったがスタイルでいうなら塚平の圧勝。 こんなやつがこの学校にいたなんて…… ましてやそいつと俺が一日恋人とかこれなんてエロゲ? 「お、おいどこいくんだ?」 「うーん、決めてないな。 八幡はどこか行きたいところあるの?」 「俺は家に帰りたい」 ドンッ!! 腹パンされた……。 何この子まじでめちゃくちゃ痛いしどこかのレディースかなんかなの?もういやだ八幡おうち帰る…… 「八幡、大丈夫?」 「大丈夫じゃないんだけど……」 「とりあえずお昼にしない?私お腹すいたな。 この辺でどこか美味しいラーメン屋ってないの?」 え?俺の心配ってそれだけ?というかこいつラーメン食べるのか。 ちょっとだけ八幡的にポイント高いな。 しかしこの辺は俺のラーメンテリトリーではないんだよな。 塚平に無理やり引っ張られながら歩いて来たので場所も把握しきれていない。 「すまん、この辺はあまり詳しくないわ」 「仕方ないな君は……。 それなら私のお勧めのラーメン屋でいいかな?」 塚平に連れられて来たラーメン屋は「かいざん」という店だ。 とりあえず塚平に習いネギとんこつを注文する。 「ここはご飯にも、麺にもネギが合うからネギ付きは基本」という塚平のアドバイスを受けこれに。 豚骨ベースながらしっかりと出汁が出ていて、味と脂のバランスも優れていて旨い。 中太ストレート麺との相性もいい。 すぉして分厚いチャーシューの満足感がやばい。 こんな名店知らなかったな。 今日はこれだけで満足した気がする。 よし帰ろう。 「「ごちそうさま」」 「どうだった?」 「いや、かなり良かったよ。 また来るレベルだ」 「そうでしょう、ここのスープと麺の絡みは絶品だからね」 塚平は満足げに語ると、携帯を取り出し何かを確認している。 「よし、次は本屋に行ってもいいかな?」 「そうだな……、俺も新刊のほしい本があるしいこうか」 「決まりだね」と言い塚平がさり気なく腕を組んでくる。 気づいて回避しようとするとまた強引に来るので仕方なく片腕を生贄に捧げる。 本当こいつ自分のスタイルとかわかってるのか?歩くといちいち柔らかいものが俺にあたるんですよ? しかし隣でニコニコと機嫌よく歩く彼女を見るとなかなか言い出せなかった。 だって凄く綺麗なんだもの。 八幡ドキドキしちゃう。 本屋に入ると俺は目当ての新刊がないかチェックする。 どうやらここには置いてなかったようだ。 目当てのものがないので塚平と合流し、本屋を出ようとしたときだった。 「あれ……?ヒッキー何してるの?」 ……最悪だ。 この状況を今最も出会いたくない人物の一人と出会ってしまった。 というかなんでこいつが本屋になんかいるの?キャラ違うでしょ?ここでエンカウントするとしたら雪ノ下じゃないの? 「由比ケ浜さん、どうかしたのかしら?」 いたよ。 なるほど二人でいたのね。 仲良いなこいつら。 ジーッと俺の横にいる塚平を見つめる二人。 雪ノ下が口を開く。 「ところで比企谷君?そちらの女性はどなたかしら?」 雪ノ下も知らないのか。 同じ2年なら知っていると思ったんだが。 由比ヶ浜のことも知っていたわけだし。 ところでなんで君たち俺を見るときは睨んでるの?こわいんだけど。 「はじめまして、八幡の彼女の塚平です」 「か、か、か、かにょじょ!?」 落ち着け、由比ヶ浜何言ってるかわかんねえからそれ。 「私の聞き間違いかしら?彼女と聞こえたのだけれど?塚平さん、あなた大丈夫かしら。 こんな男を彼氏にしてしまって」 「どういうことかな?八幡は最近の男子の中では中々骨のある良い男だと思うが?それを君たちが知らないわけではあるまい?」 まただ。 こいつは俺のことを確実に知っている。 だが俺は全く知らない。 ここが引っかかるんだ。 雪ノ下は塚平に言われたあと眉をピクピクさせながら黙っている。 ちょっと怖いんですけどそれ。 「何を言ってるのかしら?そんなこと会ったばかりのあなたに言われる筋合いはないと思うのだけれど?」 「そうだよ、あなたよりあたしたちの方がヒッキーのこと理解してるし!!」 「理解していてそれか……、少しは君たちも素直になりたまえ。 用はそれだけかな?私たちはこれからデートの続きがあるのでこれで失礼するよ」 「「あっ……」」 二人の声を振り切った塚平は俺の腕を取り本屋をでる。 少し二人には申し訳ないことをしたのか? いや別に俺が悪いわけじゃないけど。 しばらく歩くと塚平はまた携帯を取り出し何かを確認している。 「八幡、次はスポーツ用品を見たいんだけどいいかな?」 ほう、こいつ何かスポーツやるのか。 確かに見た感じ運動神経も良さそうだし、何よりあの馬鹿力だ。 格闘技でもやらせたら世界取れるんじゃないか。 特に断る理由もないので、塚平の誘導でスポーツ用品店に向かう。 「何が欲しいんだ?」 「ん……?そうだな……、強いて言うならグローブとサンドバッグ?」 マジで格闘技とかやっちゃう系ですか。 「そ、そうなのか……」 二人で塚平のお目当てのモノを探していると茶髪のロンゲが声をかけてきた。 戸部だ。 こいつはどうでもいいや。 「あんれぇ?ヒキタニくんじゃね?こんな所でなにしてるん?」 戸部がそう言うと横にいた塚平が「デートなんですよ」と答える。 余計なこと言うなよこいつ。 「え、……あ。 ごっめ、マジ邪魔した?わり、わりー俺もう行っから」 そう告げ戸部がその場から去ろうとしたときだった。 出会いたくない奴の三人目がそこに現れた。 しかもこちらに気づくと一瞬で距離を詰め俺の耳元で囁く。 てかこいつ相変わらず速い…… 「先輩、こんなところでどうしたんですー?ていうか隣の女だれですかー?あ、先輩の彼女さんとか?でも先輩にこんな美人の彼女とかありえないですよね。 それに先輩年下好きですし、私の方が先輩にふさわしいと思いますけど?」 声ひくっ。 怖いんだけどしかもお前最後のそれ勘違いしちゃうよ? 「すまない、一色さん。 あまり私の彼氏にくっつかないでもらえるかな?」 「は?え、……本当に付き合ってるんですか?え?冗談じゃなくて?」 「いや、じつ「見て分からないかな?只今絶賛デート中なのだが……」 俺の声をかき消し塚平がデート中だということを強調して抱きついてくる。 当たってます、当たってますから!! 「…………」 一色は機能停止している。 「ほらいろはすー。 俺らもう行こうぜー、なあ?」 戸部は動かない一色を無理やり引きずりながら連れて行った。 しかし塚平のやつあの三人を相手に完全勝利してるんだけどこいつマジ何者なんだ。 雪ノ下、由比ヶ浜。 一色の三人を圧倒できるなんて俺は雪ノ下さんか平塚先生くらいしか知らない。 つまりの女子はそのレベルだということだ。 いつの間にか俺は塚平に興味を持ち始めていた。 「次はゲーセンにでもいこうか」 「じゃあいくか」 二人でゲーセンに向かう。 「八幡はゲーセンには結構行くの?」 「まぁ時間つぶしにちょうどいい場所だしな。 よく麻雀とかクイズ系のをやる」 「麻雀できるんだ。 私も麻雀得意だから二人で店内対戦しない?」 「お、おう、なんか二人で店内対戦ってシュールだな」 「確かにそうかもね」 ふふっと笑う塚平。 お互いお金を入れてゲームを始める。 店内対戦なんてしたこともないのにしかも初めての相手が女子高生ってどうなの……? やっぱりこいつなんか今時の女子高生とは若干違う気がするんだよな。 まあそのせいなのか一緒にいて変な気遣いをしなくて済む。 あの三人とは少し違うが一緒にいて悪くないな。 そんなこと考えてると隣から「ロン」の声が。 塚平の跳満が俺に直撃する。 何こいつ強くね? 「ふふん」と得意げな表情でこちらを向く塚平。 その表情に不覚にも見惚れてしまう。 こんなシチュエーションでときめいちゃうとか俺大丈夫? しばらく麻雀をしたあと塚平がプリクラを撮りたいというのですることに。 「最近のプリクラはこんなに種類があるんだね」 「俺はさっぱりわからんから塚平に任せるぞ?」 「私も最近のは全然わからないんだ。 適当にそれっぽいの選んでしまおう」 意外だ。 今まで話した感じ、最近の女子高生としては若干違和感はあるがこいつのコミュ力は低くない。 それにこの容姿なら間違いなくクラスのトップカーストに所属しているだろう。 ならばプリクラなど慣れていそうなものだと思ったのだが。 「とりあえずこれにしようか」 そう言い、塚平が選んだ設定で撮る。 「綺麗に撮れるんだね。 じゃあこれは八幡にあげるから。 携帯に貼ってくれてもいいんだよ?」 取り出したプリクラをハサミで切り半分を俺に渡す。 「それはない」 「ふふっ、恥ずかしがるな」 「恥ずかしいに決まってんだろ。 それにこの関係は今日だけだしな」 そうだ。 この関係は今日限定なのだ。 あまり深入りしても仕方ない。 「そうか……、そうだな。 すまない、少し調子に乗ってしまった」 少し落ち込みながら塚平が言う。 「い、いや悪い。 別にお前が良いならまたこうして遊んでもいいぞ……」 何言っちゃってんの俺?しかもこれ若干上から目線じゃねえか、我ながらキモイ。 「……意外だな」 キョトンとした顔でそう告げる。 ちょっとその顔可愛いなおい。 「わりぃ、今のは気にしないでくれ」 「そうか。 そうだな。 時間も時間だし帰ろうか。 途中まで送ってもらえないかな?」 気づけば割といい時間だ。 「わかった、家どの辺なんだ」 「ここからそう遠くはないよ。 歩いていこう」 自転車で後ろに乗せてささっと帰ろうと思ったがまあ歩いて帰るのも悪くないだろう。 塚平はここが指定席と言わんばかりにまた俺の隣に来る。 しかし今度は腕を絡めるのではなく手を握ってきた。 やだちょっと恥ずかしい。 いわゆる恋人つなぎだ。 え、ナニコレメチャクチャキンチョウスル。 しかも手柔らかいし、俺手汗かいちゃわない?大丈夫? 「八幡ここでいいよ。 今日はありがとう」 しばらく歩くと家の近くまで来たのだろう。 塚平がそう言う。 「今日は楽しかったよ……。 ありがとう」 「いや、俺も意外と楽しめたぞ。 それじゃあ、また学校でな」 そう言って俺は振り向き家路に向かう。 しかし彼女の依頼とは結局なんだったのだろう。 あの依頼には何か別の意味があったんだろうではないかと考え始めた時だった。 「八幡」 呼ばれて振り返る。 塚平がこちらに向かって走ってきていた。 そして俺に抱きつき、彼女は俺の肩に手をかけ、彼女の唇が俺の唇と触れ合う。 「んっ、……っあぁ、ん」 彼女の舌が俺の舌に絡まる。 一瞬何をされたのかわからなかった。 だけどそれはとても気持ちよくて……。 「大人のキスだ……卒業したら続きをしよう……ではまた今度……」 ニッコリと微笑みながらそう言い、左手で手を振りその場を離れた。 俺はというと、何が起きたのか理解するまでに時間が掛かり、理解したあとまた思考停止してその場に留まった。

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久々に実家に泊まったら母が別人になっていた。俺「母はいつからああなった?」妹「何言ってんの?お母さんはずっとあんな人じゃない」俺「!?」

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俺ガイル キスの日にはBLな策謀が渦巻いている。 キスの日。 5月23日はキスの日とされ、インターネットを中心にした一部の界隈では騒がれる記念日。 何故5月23日がキスの日なのか? 語呂合わせでもないこの日は、歴史的に遡ればわりあい長い因縁を持つ。 日本映画で最初にキスシーンが登場したのは1946年のこと。 佐々木康監督の『はたちの青春』というのがその作品らしい。 その映画の封切りが5月23日だった。 だから5月23日はキスの日となったらしい。 約70年前の、当時としてはロマンチックな出来事を起源に持つ日なのだ。 5月23日がキスの日なのはいい。 恋人同士が愛を確かめ合うのもいいだろう。 だが、世の中にはこの手の記念日に不思議な解釈を当て嵌めようとする輩が多い。 例えば最近会員数が1,300万人を突破した某インターネット投稿コミュニティーサイトで『キスの日』をキーワードに検索してみる。 更にそれを人気順で並び直してみると不思議な現象を目にすることになる。 男同士、または女同士のキスが上位を高い比率で占めるのだ。 何故同性同士のキスなのか? しかも、彼ら、彼女らは特に作中でカップルという表現をされていない場合が多い。 いや、二次創作のカップリングの問題をここで扱うことは本題からズレてしまう。 俺が言いたいことはただ1つ。 キスの日だからと言って男同士のキスをさも当然のように要求するのは止めろということだ。 それが自然であるかのように認識するのは間違いである。 俺は女ともキスしたことがないんだぞ。 男とキスなんてまっぴらごめんなのである。 結論:海老名姫菜はキスの日だからと言って俺に葉山とのキスを強要するなっ! [newpage] 「あっ、姫菜だ。 クラスメイトの海老名姫菜は最悪な挨拶を響かせながら奉仕部部室へと入ってきた。 『ハロハロ~』から『ホモホモ~』へ。 とてもいい笑顔でそう言い切った彼女はきっと酸素欠乏症にでも掛かってしまったのだろう。 俺がこの腐女子を相手にしたくないのは言うまでもない。 先日から部室によく連れてくるようになったカマクラに構って遊び海老名は見ないようにする。 「海老名さん。 奉仕部に何の御用かしら?」 雪ノ下は冷静を装い、いつもの澄まし顔を見せながらもその声は若干緊張していた。 以前の戸部の依頼の件が今でも精神的に堪えているのかもしれない。 後ほど何とかなったとはいえ、修学旅行の1件は俺たち奉仕部の人間関係に面倒くさい亀裂をもたらした。 雪ノ下にとっても大打撃だったあの件のせいでちょっと警戒しているのかもしれない。 もっとも、自爆テロ戦法は俺が勝手にやったこと。 海老名に何か苦手意識や引け目を感じるのは論理的には正しくないのだが。 「実は、奉仕部に依頼があって来たの」 雪ノ下の緊張感が増す。 声には出さずパッと見では動揺も見えてこない。 けれど、長い間同じ部室で時を過ごしてきたので、俺にはコイツの内的な変化が何となくわかるのだ。 「…………それで、どんな依頼かしら?」 雪ノ下は冷静を装い続け話を促す。 それは彼女の強さであり同時に不器用さの表れでもある。 俺だったら同じ人物の依頼は二度聞かないのが部の規則とか嘘言って適当に逃げる。 そういう立ち回りができないのが雪ノ下雪乃という少女だった。 「今日5月23日はキスの日という記念日なのよ」 海老名のメガネが待っていましたとばかりに光った。 ああっ、一刻も早く逃げないと。 俺の本能は瞬間的にこの先の展開を悟った。 キスの日の話題を持ち出したのがよりによって腐女子の海老名姫菜。 これ以上話を聞くのは俺の精神衛生上良くなかった。 「それで?」 話の行き着く先がまだ読み切れてないらしい雪ノ下は依頼聞きモードに入っている。 最悪な展開だ。 なら、俺の採るべき道は1つしかない。 「スマン。 ちょっと、トイ……」 「ヒキタニくんの力をどうしても借りたいのっ!!」 部室を脱出しようとした俺の目の前に海老名がいた。 やはり腐女子が腐関連で瞬間移動を使えるというのは本当だったらしい。 「比企谷くん個人の力を借りたいのなら個人的にお願いすればいいわ。 常に部活動として活動する必要もないもの」 以前俺が使った論理が雪ノ下によって用いられる。 「ここは部としての一致団結が必要な時だろうが!」 雪ノ下め。 厄介に違いない海老名の依頼を自分の目から遠ざけることで精神の安定を図るつもりだな。 「部への願いでもヒキタニくん個人へのお願いでもどっちでもいいから聞いて欲しいの」 海老名の鼻息が荒い。 口から不自然なほど息が吐き出されている。 「聞きたくない。 俺は少しも聞きたくない。 出口はあっちだ」 首をブンブンと横に振る。 残る頼みの綱は由比ヶ浜だが……。 「姫菜のお願いって何かなあ?」 役に立たないボケっぷりを披露してくれている。 癒し系キャラのつもりかっ!? 俺がこれだけ全力で逃走しようとしてるんだからもっと察してくれても良いだろうに。 フェイントを挟みながら体を左右に振って部室からの脱出を図る。 しかも腐女子はスポーツ系漫画にやたら詳しく身体の動かし方を熟知している。 下手な運動部男子よりよほどフットワークがいい。 そして、俺が振り切れないでいるまま海老名は堂々と部内に爆弾を投下してくれた。 ていうか望むところ?」 「熱心に語らってくれているところを悪いんだが……すまない、ホモ好きは帰ってくれないか?」 世の中には往々にしてコミュニケーションが難しい相手というものがいる。 天敵と言ってもいいだろう。 そして腐女子というのは大概の男にとって天敵に違いなかった。 「それは無理ね」 ふてぶてしい表情を見せる海老名。 「何故だ?」 「もう葉山くんがこの部室に到着するから」 海老名の赤縁メガネのレンズが光ったその瞬間だった。 「お邪魔するよ」 海老名にまんまと騙された馬鹿がのこのこ現れた。 いや、この学校のカースト制度の頂点に君臨する存在葉山隼人が部室へと降臨したと表現した方が世間的には伝わり易いか。 「愛の導きではやはち降臨。 キタァーッ!!!!!」 今の海老名を顔文字で表すとこんな風になる。 トラウマになるには十分に残虐過ぎる光景。 「姫菜に呼ばれてここに来たんだけど…………お邪魔、だったかな?」 葉山も狂気の舞を見て自分が罠に掛かったことを理解したらしい。 「今すぐ帰れ。 星へ帰れ。 二度と俺の前に姿を現すな」 葉山に懇切丁寧に諭してみせる。 だが、俺の説得虚しくて海老名はまたしても瞬間移動を見せた。 一瞬の後に葉山の背後を取って扉を封鎖。 退路を絶っていた。 「えっと……姫菜。 俺をここに呼んだ用って、何なの?」 「馬鹿。 そんな質問してんじゃねえよ……」 雪ノ下と同じ過ちを繰り返す葉山。 お坊ちゃま、お嬢ちゃんというのは根本的に危機意識が足りないのだろうか? 葉山よ。 これまでの流れでどう見てもお前に不利益をもたらす状況だってのはわかっているだろうに何故詳細を聞く。 お前が全力で体当りして海老名が吹き飛べば事態はとりあえず解決する。 お前と海老名の間に遺恨が生じるだろうが、俺は清い身体を守り続けられるんだ。 「葉山くんにね。 いつものようにヒキタニくんとキスをして欲しいの。 コイツの脳はやはり腐っているらしい。 そんな海老名に戸惑ってお坊ちゃまの顔が俺へと向けられる。 「姫菜は一体何を言ってるんだい?」 「俺に聞くな。 海老名さんはお前のグループのメンバーだろうが」 「う~ん……」 困った葉山は先ほどから無言というか硬直している由比ヶ浜へと顔を向ける。 「うううううううう」 ガハマさんは首を盛んに横に振って関係性を否定してみせた。 葉山の顔が再び俺へと向けられる。 俺は当然目を逸らした。 葉山グループの問題児の扱いなど知った事か。 葉山は仕方なく、本当に仕方ないという様をみせながらもう1度海老名を見た。 [newpage] 「俺がいつ、ヒキタニくんとキスしたかな?」 ……葉山はまた質問を間違えた。 コイツはもっと人の悪性を信じて疑って生きていくべき。 じゃなきゃ、こんな腐女子の魂を燃え上がらせるような愚鈍な質問はしない。 海老名の鼻息がやたら荒くなってしまったじゃないか。 コイツの頭の中で今、妄想していることは俺や葉山を死へと追いやるぞ。 間違いなくな……。 「まあ、ね」 馬鹿葉山。 話を聞くな。 ダメージを受けるのはお前。 そして俺なんだぞ! 「練習後は体が火照ることもあるでしょ」 「サッカーは走りっ放しのスポーツだからね」 だから馬鹿葉山。 話を繋げるなっての。 今のは興味なさそうに「そんなことないよ」で話を打ち切るところだろうが。 何でコイツや雪ノ下はわざわざ不愉快な話でも最後まで聞こうとするんだ!? マゾなのか!? ちなみに俺は必死に部室からの脱出を試みているのだが、海老名の鉄壁のガードの前に抜け出せないでいる。 コイツ、スラムダンクも全巻読破してやがるな。 ディーフェンスディーフェンスって幻聴が俺にまで聞こえてくる。 「体が火照ったら性欲に変換して発散を図るよね。 だが、もう遅い。 「いや、別に。 モブレされた瞳がデフォな稀有な男の子だもの」 葉山は慌てて説明を始めたが、既にスイッチが入ってしまっている海老名は聞いてない。 喋れば喋るほど自分で盛り上がってしまっている。 「何で男を相手に性欲を発散っていう発想になるんだい? 俺にそういう性癖はないんだけどなあ」 不快極まることを言われても強く返せないところに葉山隼人という人間の優しさがある。 いや、俺に言わせれば限界か。 奴が自分の首を絞めている部分とも言い直せるだろう。 ちなみに俺は今でも脱出を試み続けているのだが鉄壁の護りが崩せない。 SGGK(スーパー・グレード・ゴール・キーパー)若林くんの守護霊が海老名の背後に見える。 「葉山くんは女の子に大層モテるものね。 性欲を発散する女に困っていないと言いたいのかしら?」 「違うっての!」 「どうかしらね?」 今度は雪ノ下からの横槍。 やたら冷たくて尖った声だった。 雪ノ下は葉山に容赦ないからな。 幼馴染だか何だが知らないが。 それにしてもリア充が女に酷い目に遭わされている様を見ているのは実に気分がいい。 「「ブヘッ!?」」 俺と葉山が一斉に吹いた。 葉山が女にやり込められているのをザマアみろと考えている場合じゃなかった。 俺へのダメージが大き過ぎる。 何で俺がデフォで葉山の性奴隷状態なんだよ!? ていうか『はやはち』の3冊目って一体何だ? 既に2冊は既刊なのか!? 「それでね、まずはヒキタニくんに濃厚なキスをかまして舌を激しく絡ませて気分を盛り上がらせてから……」 「もういい。 わかった。 これ以上言うな……」 葉山は両手で海老名を制す。 余裕ありそうな口調に見えるが実際はそうじゃない。 葉山のライフはもう0だ。 俺のライフが0なのだから間違いない。 「海老名の想像はとても興味深いものだとは思う。 きっと面白がって聞いてくれる子も世の中にはたくさんいると思う。 けどな、事実じゃない。 俺は、比企谷とは何でもない」 葉山にしては相手の嫌がりそうなことをわりとキッパリ述べている。 「だから比企谷とはキスできない。 したくない」 葉山が俺に言わせれば男気を見せた稀有な瞬間だった。 じゃあ、もういいや」 そのどうでもよくも冷たく聞こえる響きは部内の空気を一変させた。 [newpage] 「あっ。 じゃあ、もういいや」 それはもう本当にどうでも良くなったように聞こえる声だった。 海老名はごく平然と笑いながら葉山を他人のように見ていた。 三浦優美子がかつて、男をしつこく勧めようとしたところ聞いたという関係性の断絶を示す言葉と態度。 今度はそれが葉山へと向けられていた。 「私が優美子に誘われてこのグループに入ったのは…………葉山くんが爽やかな顔をしながら裏で男の子たちをガツガツ食い漁る真実の愛の求道者だと思ったから」 「えええっ!? そうだったのぉっ!?」 由比ヶ浜が地味に衝撃を受けている。 「なっ………なん…………で……」 一方で葉山の方は……海老名に縁切り宣言されたショックが大き過ぎて硬直している。 葉山といい三浦といいこのグループ、リア充カーストの頂点に君臨しているわりに何ていうか脆い。 実は自分に自信がない連中の集まりなのだろうか? 「戸部くん、大和くん、大岡くん。 日替わりでガツガツ喰いまくる葉山くんは素敵だった」 「…………この腐女子、お前の方からグループを脱退させるべきじゃね?」 俺の親切な提案も硬直中の葉山には届かない。 いや、戸部たちが聞けば賛成してくれるに違いないのだが。 男は自分でBL妄想されることを殊の外嫌いものだ。 「でも、葉山くんは運命の肉便器ヒキタニくんに出会ってしまったの」 演劇でも演じているように右手を差し出しながら俺を見る海老名。 「誰が運命の肉便器だ」 もっと皮肉を効かせて返したいのに寒気がしてストレートにしか拒否れない。 「ヒキタニくんの具合の良さを知ってしまった葉山くんはもう戸部くんたちでは満足できなくなってしまったの。 でも、ヒキタニくんを選べば葉山グループは解散してしまう」 「その設定は今思いついたのか? それとも前から考えてるのか?」 本当にどうでもいいことを聞いてしまった。 腐女子と話しているといつもの皮肉が全く思い浮かばない。 というか何を言っても言葉尻を取られて悪用されそうで怖い。 「けれど、葉山くんは義理堅い性格の持ち主。 ヒキタニくんとの肉欲だけに塗れた愛情のない体だけの関係を選ぶことができないの」 「選ばれなくて本当に良かったよ」 そもそも肉便器じゃねえけど。 「でも、ヒキタニくんとの爛れた関係さえも公表できない勇気のない葉山くんには……ちょっと、ガッカリしちゃったな」 海老名のメガネが曇った。 「全部お前の妄想に過ぎないから葉山が公表することも何もないんだろうが」 海老名の中では現実と妄想に区別が付いているのか不安でならない。 「とにかく、私はもう……」 「まっ、待ってくれっ!!」 硬直を解いた葉山が大声を上げながら海老名の肩を掴んだ。 その時、俺は見た。 海老名が邪悪な笑みを浮かべながらメガネを光らせた瞬間を。 この女、盛大な仕掛けで葉山を釣りに来やがった! 「何かしら?」 葉山へと半分だけ顔を向けた海老名は商談チャンスを得たビジネスウーメンの顔をしていた。 [newpage] 「俺が比企谷にキスすれば、姫菜は今まで通りグループに残ってくれるのかっ!?」 海老名に問い掛ける葉山は必死の形相だった。 目を血走らせながら頭にウジが湧いていることをほざいている。 「お前は一体何を言っているっ!? 正気に帰れ!」 葉山は完璧におかしくなっている。 仲間を失うことを極度に恐れている葉山にとって海老名の仕掛けた攻撃は精神の限界値を超えたものだった。 クソッ。 葉山が海老名の軍門に下ってしまうと厄介だ。 「そうね。 葉山くんがヒキタニくんにキスしてくれるなら……私は今まで通りに葉山くんのグループに喜んでいさせてもらうわ」 海老名はここぞとばかりに一気に攻めてきた。 葉山を使ってキスの日BLを実行するつもりなのだ。 「すまない。 比企谷……俺は、今あるものを失いたくないんだっ!」 葉山の振り絞るような声を聞いて海老名のメガネがより一層の輝きを放つ。 「さあ、葉山くん。 早く、ヒキタニくんとの愛の証を私に見せて頂戴っ!!」 腐女子に命令されるまま葉山が1歩1歩俺へと近付いてくる。 俺は心底恐怖を感じていた。 脚が竦んで動けない。 「すまない。 すまない。 すまない……」 「やっ、止めるんだ、葉山っ! 正気に戻れっ! お前は腐女子に洗脳されているだけだ」 右足に力を込める。 脚が全く上がらない。 最悪だ。 「それでも……俺がやらないと、姫菜はグループから抜け出てしまうんだっ!」 「この際だから言っておくが、この腐女子を追い出して代わりのメンバーをなんだったら3、4名補充すればいいだろうがっ! お前が声掛ければみんな入りたがるぞっ!」 葉山がその気になれば全校生徒の半分以上をグループに入れることだって可能なはず。 なのに、何故この腐女子に拘るっ!? 「それでも俺は……今のこの関係が好きなんだっ!!」 「俺の脚よ、動けえっ!!」 自分の右足をゲンコツでぶん殴る。 スゲェ痛い。 でもおかげで脚に感覚が戻った。 葉山から逃れるために後退を試みる。 だが、腐女子はまたしても瞬間移動を披露して俺の背後に回り込んでいた。 後退できない。 まっ、不味いっ!! このままでは、レモンの味がするはずの俺のファーストキッスが。 よりによって葉山に奪われてしまうっ!! 「本気で止めろ、馬鹿っ! お前はBLの悪魔に魂を売り渡す気かっ!!」 「そうなっても構わないっ! それで仲間の輪が保てるのならっ!」 生涯消えない心の傷をこのままでは俺は負うことになってしまう。 助けてバーニーっ!! 俺がダークサイドに堕ちて魔女化するしかないと思ったその時だった。 「待ちなさい、この痴れ者っ!」 「そのキスっ、反対~~~~っ!!」 捨てる神あれば拾う神あり。 俺はまだ、全ての神から嫌われたわけではなかったらしい。 雪ノ下と由比ヶ浜が体を盾にして葉山の接近を阻んでくれた。 「チッ」 俺の背後からあからさまな舌打ちの音が聞こえる。 腐女子め。 なりふり構わねえな。 そしてそんな腐女子の意思表示は葉山にも聞こえていた。 「退くんだ、君たちっ!」 女子に声を荒げるという葉山らしくない行動に出ている。 だが、そのらしくない行動は少なくとも雪ノ下には通じない。 葉山に強く出られるほど反発心を高める少女だった。 「うちの部員に無理やりキスしようとする蛮行を見過ごせると思ってるの?」 「ヒッキーに男の子が無理やりキスするなんて駄目ったら駄目っ!!」 由比ヶ浜も俄然やる気になってくれている。 初めて同じ部活動に所属している連帯感をヒシヒシと感じる。 もしかすると、このまま切り抜けられるかもしれないっ!! だが、腐女子、いや、顔の見え難い策謀家海老名姫菜はまだ奥の手を隠し持っていた。 [newpage] 「結衣と雪ノ下さんはヒキタニくんが葉山くんとキスするのが嫌なのね」 「男性同士でしかも無理やり淫らな行為を神聖な部室内でするなんて許されないわ」 「はやはち反対っ!!」 雪ノ下たちが絡んできたことで対立の構図が雪ノ下・由比ヶ浜VS海老名へとシフトしてきている。 よし、チャンスだ。 海老名の隙を伺ってとりあえず部室外へ逃げるっ!! 「男同士の真実の愛という部分が気に掛かっているのね。 わかったわ」 わかったわ? 海老名から発せられた意外過ぎる言葉に俺の足が勝手に止まってしまった。 何故海老名がBLを諦めるようなことを口にする? 俺と葉山のキスを何の対価もなしに諦めるとは思えない。 人間急に心変わりとか俺に言わせればあり得ない。 海老名は一体、何を企んでいる? 「じゃあ、ヒキタニくん。 「…………What?」 何言ってんすか、アンタ? そう口にしたいのに上手く声が出ない。 今度は葉山に変わって俺が全身硬直する番だった。 「実はね、修学旅行の帰りの際にヒキタニくんと2人きりで会ってね。 私、愛の告白みたいなことをしたんだ。 振られちゃったけど」 若かりしほろ苦い青春の思い出を語るみたいに、自嘲を交えながら話す海老名。 俺から見える2人の少女の背中からどす黒いオーラが吹き出していく。 これは、非常にマズい……っ。 俺たちの仲が非常にギクシャクしていた時に、その原因となった人物から告白されてたみたいなのは非常にヤバイ。 それにしても海老名さん。 何故それを今言うんですか!? 「そ、そうだったのか。 知らなかったな」 雪ノ下たちが邪王炎殺黒龍波発動体勢に入っているのとは逆に葉山は落ち着きを取り戻していた。 「黙っててごめんね。 まあ、だから。 仮に私が男の子とお付き合いすることがあれば……相手はヒキタニくんだから。 グループの人間関係がギクシャクすることはないから」 あの、海老名さん? 同じグループに所属していらっしゃるガハマさんがすごい怒ってらっしゃいますよ。 こんなに激しくお怒りになってる彼女、俺は見たことありませんよ……。 「そっか。 なら、俺は姫菜の恋を応援させてもらうよ」 爽やかにウンウンと頷いているリア充カーストの頂点。 俺はハッキリと悟った。 コイツ、馬鹿だ。 同じグループの仲間である由比ヶ浜とお前にとっての天敵の雪ノ下を一層怒らせてどうするんだ? 「そんなわけで私はまだヒキタニくんを諦めてないの。 というわけでヒキタニくん。 私とキスしてくれない?」 この女、本気で何を考えている? 本気で奉仕部をバラバラにするつもりか? 海老名の意図は読めない。 けれど、俺の出す答えは一つしかなかった。 「キスなんかしたらお前に惚れちまうかもしれないから却下だ」 拒絶。 それしかなかった。 「なるほど。 私とキスしてしまうとヒキタニくんが操を立てている子に申し訳が立たないというわけね。 わかったわ」 わざとらしい大きな声。 「別に、誰かに操を立ててるわけじゃねえぞ」 「それで、その子は一体誰なの? 結衣? それとも雪ノ下さん?」 その瞬間、部室の空気が再び変化した。 海老名の最後のトラップが発動した瞬間だった。 [newpage] 「「……………………っ」」 一致団結して葉山と海老名に立ち向かっていた雪ノ下と由比ヶ浜。 だが、海老名によって放たれた一言により、今度は雪ノ下と由比ヶ浜の間で微妙な空気が醸し出されている。 エラいはた迷惑な話だった。 いや、単に迷惑というだけの次元の話でないことは俺にもわかっている。 海老名の問題提起は多分……俺がわざとはぐらかして考えないようにしていることに対する本質を突いたもの。 あり得ないほど俺の胸をザクッと抉っている。 だが、それは俺の問題であり、もしかすると雪ノ下や由比ヶ浜の問題でもある。 けれどそれは俺たちで対処すべき事案であって海老名に引っ掻き回されることではない。 「海老名さんよ。 お前は俺たちの関係をわざわざ壊したいのか?」 「違うわ。 むしろその逆」 海老名は首を横に振ってみせた。 「ヒキタニくんがちゃんと答えを出せば2人とも納得する。 この部の結束はより強固なものになると思うわ」 「漫画的な発想だぞ、それは」 雨降って地固まる。 信頼関係を揺らがせるような大きな事件に直面し、それを乗り越えることで人間関係がより親密にかつ強固になる。 漫画やラノベで採用されるごく一般的な話の持って行き方だ。 むしろ少年少女向けの漫画のほぼ全てで採用されている普遍的な枠組み。 けれど、考えて欲しい。 予定調和のない現実世界で、問題を乗り越えられる保証などどこにも存在しない。 そして乗り越えたところでより親密になれるかなんてわからない。 ハッキリ言えば、逆の結果を迎えるのが現実だ。 大きな問題に直面すると、必ず不協和音が生じる。 そして、その不協和音は後々までしこりとなり続けて人間関係をギクシャクさせる。 問題を乗り越えても疎遠が生じるのだ。 要するに海老名のやっていることは本当に余計なお世話に過ぎない。 本人的には善意なりあの時のお礼のつもりなのかもしれないが。 「私は、ヒキタニくんが好きな子にキスをしている姿が見たいわね」 それはもう奉仕部への依頼とは言えない勝手な願望だった。 俺個人へのお願いだと考えるにしても、無茶苦茶なわがまま。 叶えてやる必要も義理も何もない。 にも関わらず……。 「それで、あなたは誰とキスするつもりなのかしら?」 「ヒッキーの好きな子って、誰っ?」 振り返った雪ノ下さんと由比ヶ浜さんはとても鋭い眼光でわたくしめを睨んでございました。 なんかもうこれ、誰かにキスしないと刺されそうな雰囲気です。 キスしても刺されそうな眼光の鋭さなんですが。 「さて、いい感じに盛り上がってるわね。 ヒキタニくん。 男を見せる時よ」 海老名はメガネを光らせてとても楽しそうに見える。 コイツ、最初からこのつもりだったのか? いや、違う。 コイツは最初から複数の目標を掲げて接近してきたのだ。 俺と葉山のキスが成立するならそれでよし。 俺と海老名のキスでも良かった。 そして上記の2つの目標が達成できなかった場合のゴールが、俺の好きな子をハッキリさせることだったのだ。 この策士め……。 さて、海老名から始まり雪ノ下と由比ヶ浜がその気になってしまったこの事態にどう対応する? 「比企谷くん。 この2人に早く部室から出て行ってもらうために、さっさと答えを出したらどうなのかしら?」 雪ノ下はとても怒っている。 にも関わらず、海老名が作り出した状況自体には乗っかってしまっている。 「ヒッキー…………っ」 一方で由比ヶ浜は怒りをトーンダウンさせている。 両手を組んで心配そうな瞳でずっと俺を見ている。 海老名の話に乗っているという点では雪ノ下と何ら変わりがない。 マズい。 本気でこの状況はリスクが高過ぎる。 誰かにキスしないと収まりそうにない。 しかも、ここにいない人物を指名しても不満が吹き出すだけなのは目に見えている。 雪ノ下、由比ヶ浜、海老名、葉山。 この中からキス相手を選べというのか。 葉山は除外。 海老名もこの際だから除外。 となると、残りは雪ノ下と由比ヶ浜の二択なわけだが……。 「比企谷くん……」 「ヒッキー……」 2人の少女の顔を見ているともう、俺の心臓は限界いっぱいだった。 どっちか選ぶなんて俺には……。 「なぁ~」 その時だった。 俺の足元に救いの神が現れたのは。 誰も構ってくれなくて退屈になったのか、カマクラが俺の足元へと擦り寄ってきた。 俺は、我が家の猫をこんなにも愛しいと思ったことは今までなかった。 「しまったっ!!」 海老名は己のミス、というか詰めの甘さに気が付いたようだった。 だが、もう遅い。 俺は我が家の愛しの飼い猫を抱き上げる。 「「「ああああああっ!!!」」」 雪ノ下、由比ヶ浜、海老名の声というか悲鳴が揃う。 けれど、俺はやり遂げた気分でいっぱいだった。 「キスの日ミッションのコンプリートだ。 なんたって、俺はどちらかと言えば猫派、だからな」 好きな子とキスを果たした。 何一つ嘘は吐いてない。 俺は、誰も傷つかない世界を完成させたのだ。 「君も、今のままがいいんだな」 「さあな…………おっと」 俺の腕からカマクラが飛び降りて部室の隅へと走って移動していった。 「おいおい。 キスまで済ませた仲の俺を置いていくのは酷いんじゃないのか?」 カマクラを見ながらクスクスと笑みが溢れる。 そんな俺は気付いていなかった。 何故、カマクラが全力で俺の元を離れたのかを。 「比企谷くんっ!!」 「ヒッキ~~っ!!」 ほらっ。 俺以外誰も傷つかない、悲しまない世界の完成だ。

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